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虚血性心疾患に関連するSNPを新たに同定、「FLT1」遺伝子の発現量に影響

 虚血性心疾患(CAD)の発症に関連する一塩基多型(SNP)を新たに同定したと、理化学研究所の研究グループが科学誌「Journal of Human Genetics」で発表した。CADの革新的な予防法や治療法の開発につながると期待される。

 狭心症や心筋梗塞などのCADは、生活習慣病の中でも特に症状が重く、国内では死因の上位を占める。CADの発症には遺伝的要因と環境要因が複雑に関係しており、遺伝的要因を発見することは適切な予防法や治療薬の開発に貢献できる。

 研究グループは、欧米人のSNPを用いた解析で新たに同定されたCAD発症に関連する15のCAD座位について、日本人のCAD患者7990人、非患者6852人のDNAで再解析した。

 その結果、「FLT1」遺伝子内の1つのSNPが日本人においてもCADの発症と非常に強い関連を示すことを確認した。

 また、FLT1遺伝子領域を解析したところ、さらにCADとの強い関連性のあるSNPが新たに発見され、それがFLT1遺伝子の発現を上昇させることもわかった。

 さらに、FLT1遺伝子の発現変化が冠動脈血管などの炎症性接着分子の発現に影響を与えること、FLT1タンパク質が実際にヒト冠動脈血管の内皮細胞に発現することから、CADの発症につながる可能性があることが明らかになった。

(via 理化学研究所