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兵庫県警科捜研、現場に残された血痕から「動物の種類」を特定する方法を開発

遺留物から動物を判定

事件や事故現場には、血痕や毛などの遺留物が残されている場合があります。このとき、人間由来の遺留物についてはさまざまな分析方法が開発されていますが、犬や猫など動物の遺留物ではこれまであまり情報を得ることができませんでした。




動物虐待や、動物が絡む交通事故の現場では、真相を解明する手掛かりとなる血痕や毛などが残されているケースがあります。しかし、遺留物が人間のものなのか、動物由来のものなのかについて判別することは容易ですが、動物の「種類」を特定する作業については「犬の可能性が高い」など推測に基づく消去法で進めるしかなかったという。

このため、実際には人間の遺留物ではないと明らかになった時点で、どのような動物のものかは特定せずに鑑定作業を終えてしまうのだという。

しかし、事件や事故の内容によってはどの動物の遺留物かを知りたいという捜査員からの要望がある。そこで、兵庫県警科学捜査研究所の石田なつみ研究員(34)は、DNAを使って9種類の動物を迅速に特定する検査方法を開発しました。

開発したのは、身近に存在する動物として、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、ウサギ、ヤギ、ウマの9種類の動物の判定方法。現場に残された血痕から迅速に判別できるという。日本法科学技術学会で研究成果が発表されました。

石田研究員は「捜査において動物の種類を特定することは必ずしも最優先事項ではないが、事件解決の重要な鍵になることもある。誰もが使える手法を目指したい」としています。

(via iza