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ジャガイモを食べ過ぎると高血圧になる理由とは?

カレーや肉じゃがなど家庭料理で登場する機会の多い「ジャガイモ」。世界4大作物と呼ばれるほど世界中でお馴染みの食材ですが、食べ過ぎると高血圧になるリスクが高くなるとの調査結果が出ているようです。




ジャガイモの食習慣と高血圧との関係

調査を実施したのは米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究チームで、結果は医学誌「BMJ」で発表されました。

研究チームは、米国の大規模な3件の研究に参加した、男女18万人以上の追跡調査を実施しました。調査の開始時には、高血圧症と認められる参加者はいませんでした。

参加者の食事習慣について調査をしたところ、ジャガイモを週4回以上食べていた人は、月1回未満の人と比べて高血圧のリスクが上昇しました。調理法では、「焼き」「ゆで」「マッシュ」の場合で11%、「揚げ」の場合は17%上昇しました。ちなみに、「ポテトチップス」ではリスクは上昇しなかったという。

なぜ、ジャガイモを食べて高血圧になったか

ジャガイモはエネルギー源として優れていますが、ほかにもビタミン類やカリウム、マグネシウムなどのミネラル、そして食物繊維もありバランスの良い食材です。そんなジャガイモですが、いったいなぜ「高血圧リスクの上昇」と関係するのでしょうか。

研究チームは、ジャガイモの「グリセミック指数」が高いことを理由に挙げています。グリセミック指数とは、いわゆる「GI値」と呼ばれているものです。

GI値は、食品が体内で糖に変化して血糖値が上昇するスピードの指数で、完全に分解された単糖「グルコース」を摂取したときの血糖値の上昇率を100として計算します。

ジャガイモのGI値は90で、野菜類のなかでも高めとされるニンジンの80やトウモロコシの75と比べても高い。ちなみに、コーラやオレンジジュースなどは40、アイスクリームで65など。

GI値の高い食品を食べた場合、血糖値が急激に上昇するためにインスリンが多量に分泌されます。すると、脂肪の合成促進、分解抑制へと進むために脂肪が蓄積されやすくなります。

他にも、普段からジャガイモをよく食べている人は糖尿病になりやすいという調査結果を大阪がん循環器病予防センターの研究グループが科学誌「Diabetes Care」で発表しています。ジャガイモ料理を週2から4回食べている人は週1回未満の人と比べて糖尿病の発症リスクが7%高くなるという。

本当にジャガイモが悪いのか?

研究チームは、ジャガイモのGI値の高さと高血圧リスクの上昇との関連を指摘していますが、直接的な証拠はいまのところありません。

ジャガイモ自体が高血圧につながるわけではなく、ジャガイモを使った調理法、たとえば塩やバターをつけたり、チーズやベーコンなどを添えたりすることが原因だと指摘する人もいます。

今回の調査結果だけでははっきりしたことは言えませんが、どのような食材も極端に食べ過ぎると何らかのリスクにつながる可能性はあります。結局のところ、いろいろな食材を食べてリスクを分散しておくことが重要であるとも言えます。

参考:ヘルスプレス