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千葉県で幻のイソギンチャクを110年ぶりに発見

ドフライン・イソギンチャク

 1904年以来、国内で生息が確認されていなかった「ドフライン・イソギンチャク」が110年ぶりに見つかったと、県立中央博物館分館「海の博物館」の柳研介主任上席研究員が発表した。標本の所在が長年わからなかったことから、「幻のイソギンチャク」となっていたという。

 ドフライン・イソギンチャクは1904年にドイツ人研究者、フランツ・ドフライン博士が神奈川県の三浦半島沖で採集し、1908年に新種として発表した。

 標本は戦前はドイツ・ミュンヘンの博物館で保管されていたが、第二次世界大戦中に爆撃から逃れるため郊外に避難させた際に所在不明となった。その後1985年に博物館は再建され、資料整理の際に標本の所在が確認されたという。

 今回発見されたイソギンチャクは2012年10月、お茶の水女子大学の広瀬慎美子・特任講師が千葉県鋸南町の浮島沖で発見した。

 柳研究員らの研究グループがその形態や筋肉構造を観察し、DNAを解析した。毒の入ったカプセル形の「刺胞」の大きさや位置が決め手となり、ドフライン・イソギンチャクと特定された。

 19~20世紀にかけて国内で発見されたイソギンチャクは約50種あるが、その後に所在不明となっている種類も多いという。柳研究員は「今後も他の“幻のイソギンチャク”の再発見を目指したい」としている。

(via 千葉日報