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滑膜肉腫にがん幹細胞が存在、ケモカイン受容体「CXCR4」がマーカーであることを発見

滑膜肉腫にがん幹細胞

 滑膜肉腫にがん幹細胞が存在し、ケモカイン受容体「CXCR4」が滑膜肉腫幹細胞マーカーであることを発見したと、北海道大の田中伸哉教授らの研究グループが科学誌「Oncogene」で発表した。腫瘍の再発や転移を抑える新しい治療法への応用が期待される。

 滑膜肉腫は若年成人の腕や脚の関節に発症しやすい悪性腫瘍で手術による切除が行われるが、再発や転移をした場合は有効な治療法がない。

 さまざまな悪性腫瘍には、腫瘍を形成する能力が高く抗がん剤や放射線治療が効きづらい「がん幹細胞」が少量存在してがんの進行や再発、転移で主導的な役割をはたすと考えられている。

 研究グループは、滑膜肉腫にもがん幹細胞成分(滑膜肉腫幹細胞)が存在することを明らかにし、さらにケモカイン受容体「CXCR4」が滑膜肉腫幹細胞マーカーであることを発見した。また、CXCR4が陽性の場合は明らかに生存期間が短いこともわかった。

 今回の研究結果から、滑膜肉腫幹細胞におけるCXCR4を抑制することで腫瘍の進展や再発、転移を防止する、新たな治療法の開発につながる可能性があるという。

(via 北海道大学