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運動と記憶力アップとの関係、運動前か運動後か?実験結果から考える

学生のころ、散歩など軽い運動をしながら暗記すると記憶力が上がるというような話を聞いたことはないでしょうか。当時はなんとなく「気分転換になるから」くらいにしか思っていませんでしたが、どうやら本当に記憶力アップにつながるようです。

ジョギング低度の軽い運動の直後に記憶力が向上

筑波大と米カリフォルニア大の研究チームが実験で明らかにしたのは、ジョギングくらいの軽い運動を10分間した直後に短期的な記憶力が向上するというもの。

実験では、21人の学生にさまざまな物体の写真を2秒間ずつ合計192枚見てもらいました。それから45分後に違う256枚の写真を見せて、(1)同じ写真(2)似た写真(3)無関係な写真を3択で答えてもらいました。

運動は、心拍数が毎分120くらいまでなる低度の負荷で、エアロバイクを10分間こぐもの。

運動直後と安静時とでテストの成績を比べたところ、無関係な写真と同じ写真については成績に差はありませんでした。

ところが、似た写真については運動後にテストをした方が成績がよくなり、とてもよく似た写真の場合は正答率が8%向上したそうです。

激しい運動の直後に記憶力が向上

より強い運動の直後に記憶力がアップしたという研究報告もあります。

アイルランド・ダブリン大学の研究チームが行った記憶力実験は、顔と名前を一致させるもの。

研究チームは、モニターに顔写真と名前をセットで映し出して男子学生たちに見てもらい、その後に顔写真のみを映して名前を当てさせるというテストを行いました。なお、被験者たちは日常的に運動をしていない学生を集めたとのこと。

運動内容は、こちらもエアロバイクを使ったものですが、始めはゆっくりですが徐々にスピードを上げていくもので、30分間の運動後には息が切れるほどでした。

30分間安静に過ごしていたグループと比較したところ、運動後にテストをしたグループの方が明らかに成績がよく、「激しい運動」の直後でも記憶力が向上することがわかりました。

研究チームは、激しい運動がなぜ記憶力の向上につながるかを調べるため、被験者たちの血液を採取して成分を分析しています。

その結果、激しい運動の直後には脳内で作られる「BDNF」というタンパク質が増えていることを突き止めました。研究チームによると、BDNFによって記憶が保管された領域から記憶を取り出す能力が向上したとしています。

勉強後に運動すると記憶力が向上

運動の強さに関わらず、運動後には記憶力が向上するという実験結果について紹介しましたが、その他にも「勉強後に運動」しても記憶力が増すという実験結果もあります。

ラドバウド大学の研究グループは、地理の勉強を40分間させた後で、(1)運動しない(2)勉強の直後に運動(3)勉強から4時間経過してから運動、という3つのグループに分けて、勉強の成果を比較しています。

運動の内容は、こちらもエアロバイクを使ったもので、80%の力で5分間と60%の力で5分間を交互に35分間続けるものでした。こちらも比較的強度の大きい運動と言えます。

実験を行ってから2日経過後にテストを実施したところ、運動しなかったグループと勉強直後に運動したグループでは差が出ませんでした。しかし、勉強から4時間後に運動したグループでは明確に成績が向上することがわかりました。

研究グループは、実験参加者の脳をMRIで測定したところ、勉強から4時間後に運動をしたグループでは海馬の領域が活性化していたことがわかったという。

記憶力と言ってもさまざまな種類のものがありますが、勉強のような長期記憶を向上させたい場合は、このグループが行った実験が参考になるかも知れません。

いずれにしても、運動によって脳に何らかの変化が起きることで、記憶力にも良い影響がある可能性が示されているようです。効率よく勉強をするのであれば、部屋に閉じこもって長時間勉強を続けるより、適度に体を動かした方がよさそうですね。

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