バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.2 Thu

モータータンパク質「キネシン」の足の動きを詳細に可視化

 分子モーター「キネシン」の動きを高い時間分解能で詳細に観察することに成功したと、東京大の富重道雄准教授らの研究グループが英科学誌「Nature Chemical Biology」で発表した。人工的な分子機械の設計につながると期待される。

 キネシンは二つの足を交互に動かして、まるで歩くように運動する分子モータータンパク質。

 これまで、キネシンがステップ状に運動することが一分子計測法で明らかにされてきたが、時間分解能が低いために途中の動きを直接観察することは困難だった。

 研究グループは、全反射証明型暗視野顕微鏡法という手法を用いることで、これまでにない高い時間分解能でキネシンの片足の動きを詳細に観察することに成功した。

 キネシンの片足は、レール(微小管)から離れた後、右側で激しくゆらぎ、その後もう片方の足にATPが結合すると前に着地する、という様子が明らかになった。

 また、両足をつなぐリンカーを伸ばすと片足を浮かせた状態で保てなくなり、頻繁に浮いた足が後ろに戻るようになることもわかった。

参考:東京大学