細胞レベルでの「成長ゆらぎ」が大きいほどクローン集団を速く成長させる

2016年3月22日　バイオニュース／ニュース，

　均一なクローン細胞集団に「成長ゆらぎ」があることで集団がより速く成長できると、東京大の若本祐一らの研究グループが米科学アカデミー紀要で発表した。「表現型ゆらぎ」の生物学的意義やさまざまな生物種の成長率上限の解明につながるという。

　同一遺伝情報をもつクローン細胞集団を同一環境条件下においたとき、個々の細胞では成長能などの性質にばらつきが観察される。

　このような「表現型ゆらぎ」は原核生物、真核生物を問わず一般的に見られる普遍的な現象であるが、その役割についてはよくわかっていない。

　研究グループは、大腸菌のクローン細胞集団を１細胞レベルの精度で１００世代以上にわたり連続観察が可能なシステムを開発した。

　このシステムを使うことで、細胞レベルの成長ゆらぎが大きいほど、細胞集団がより速く成長できることを突き止めた。

　また、異なる環境下での成長ゆらぎを定量的につなぐ新たな法則を発見し、この法則に基づいて各生物種の成長率の原理的上限を知ることができる可能性が明らかになった。

参考：東京大学