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6600万年前の生物の大量絶滅、原因は小惑星衝突で発生した「すす」とする新説

 6600万年前に起きた生物の大量絶滅は、小惑星が地球に衝突した際に発生した「すす」を原因とする気候変動だったとする新説を、東北大や気象庁気象研究所が発表した。

 大量絶滅については、メキシコ・ユカタン半島への小惑星の落下が原因とする説が最も有力とされている。一方で、小惑星衝突と気候変動との関係については諸説ある。

 巻き上げられた「ちり」が太陽光を遮ることで発生した地表寒冷化や、大量発生した酸性雨による海水の酸性化などが考えられている。

 研究グループは、小惑星の衝突後に堆積した地層から「すす」を採取して成分を分析した。その結果、炭化水素の一種である「コロネン」の含有率が高いことがわかった。

 コロネンは、ベンゼン環が環状に6個つながった構造をもつ平面の分子で、超高温で有機物が焼けたときに含有率が高くなる性質がある。そのため、小惑星の衝突による熱で生成されたと結論づけた。

 研究グループは、小惑星衝突の際の気象変動をコンピューターで再現した。

 上空に舞い上がった「すす」が成層圏に7~8年とどまり続けて太陽光を吸収し、気温が低下して海水の蒸発量が減った。その結果、降水量が激減して植物が枯れて食物連鎖が崩れた。

 一方、「ちり」の飛散では短期間で収まるために大きな気候変動は発生しないという。

参考:河北新報