バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.4 Sat

大腸がん、血液検査で早期特定 三重大など発見

 血液検査により、がん化する前の大腸ポリープや大腸がんの患者を高い確率で特定する方法を、三重大大学院消化管・小児外科学講座の問山裕二助教(43)らの研究グループが見つけた。米国の病院との共同研究で、米医学誌の電子版に発表した。症状の初期の段階から患者を発見することができ、生存率向上につながることが期待される。

 一般的に大腸がんは、健康診断などで便に血が混じっているかどうかから調べることが多い。血が混じるのはさまざまな理由があるため、正確さが課題となっていた。従来の血液による腫瘍マーカー検査は、進行がんの転移や再発を診るには有効だが、がんかどうかを診断するには不向きで、大腸ポリープを判別することもできないという。

 問山助教は米病院に留学中、大腸がん組織から「マイクロRNA-21」と呼ばれるごく小さなRNA(リボ核酸)が血液中に分泌されていることを発見。三重大病院の患者ら日本人約300人分の血液を調べた結果、大腸ポリープ患者と大腸がん患者の血液中の血清には、健康な人の3~6倍のRNAが含まれることを確認した。

 解析したところ、82%以上の確率で大腸ポリープ患者を、92%以上の確率で大腸がん患者を判別できた。

 問山助教らは「留学先の米病院で近く治験が始まる見通しで、2~3年後の実用化を期待している」と話している。

 出典 中日新聞