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脳血管を紫色に光らせる色素を発見。脳障害の治療薬開発に・三重大

 脳の障害を治療する薬の開発に役立つ新たな蛍光色素を、三重大医学系研究科の田中利男教授(薬理ゲノミクス)のグループが開発し、二十三日発表した。新薬開発のための実験のスピードが少なくとも十倍以上加速することが期待できるという。二十一日付の米科学誌に掲載された。

 グループは、独自に開発した熱帯魚で実験し、五百種類の蛍光色素の中から、脳血管を紫色に光らせる色素を発見した。

 新たな色素は、熱帯魚に注射していた従来の色素と異なり、飼育水に加えるだけで使用できる。脳内に有害な物質が入らないようにする脳血管内の障壁「血液脳関門」に異常がある場合は、色素が漏れ出す従来の色素と同様の効果が確認できたという。

 グループによると、血液脳関門に異常があると、アルツハイマー病や認知症などを引き起こす恐れがあるという。

 田中教授は記者会見で「血液脳関門が悪くなると致命的だ。新薬開発の強力なエンジンになる」と話した。

 出典 伊勢新聞