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記憶に残る画像を教えてくれる「MemNet」でオリンピックロゴを試してみた

記憶に残りやすい画像

記憶に残りやすく、覚えやすい画像とはどのようなものかを教えてくれるプログラムが開発されています。デモがウェブサイトで公開されていたので、最近話題になった例のスポーツイベントのロゴで試してみました。一体、どのようなロゴが効果的で記憶に残るのでしょうか。




記憶に残りやすさを教えてくれる「MemNet」

画像の「記憶しやすさ」を評価できるプログラム「MemNet」は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が機械学習「ディープラーニング」を使って開発しました。

およそ5千人の被験者に非常にたくさんの画像を見せて、印象に残りやすさを評価してもらいました。その膨大な量のデータを使ってプログラムが学習することで、優れた評価法を構築しました。

学習後に新たな画像を入力して記憶に残りやすさをテストしたところ、人間とほぼ同程度の精度で予想することができたそうです。

また、このプログラムは画像全体の評価をするとともに、その画像の中のどのエリアが記憶に残りやすいかも判断してくれます。

「MemNet」を五輪ロゴで試してみる

さて、このプログラムはいったいどのような活用方法があるでしょうか。記憶に残りやすい優れた写真の構図を判断したり、ホームページの中で印象に残りやすいエリアを予想して、ユーザビリティの向上に応用することもできます。

そして記憶に残りやすさといえば、最も有用なのは「ロゴの作成」ではないでしょうか。

そこで、最近話題になっている東京オリンピックのロゴの選定を仮定して、このプログラムを使ってみようかと思います。

まずは1964年開催の東京オリンピックのロゴを評価してみました。

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さすがに実際に採用されたロゴは覚えやすい、優れたロゴのようです。スコアはいきなり0.92をはじきだしました。ちなみに、画像で「赤色」に色づけされているエリアが特に記憶に残りやすいと評価された部分です。

次に、多くのひとからも評価された、桜のリースをかたどった招致ロゴを評価します。

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なんと1964年のロゴのスコアを上回る「0.925」を獲得。このロゴは当時、美大の学生だった方が作成したそうですが、「すばらしいデザイン」としてこれを使いたいという声が多かったです。デザインの美しさに加え、「記憶に残りやすさ」も高評価でした。また、特に印象に残る部分もはっきりと「TOKYO 2020」のエリアに集中していて、ロゴとして非常に優れていることが一目瞭然ですね。

さて次は、一度は採用されたものの、さまざまな問題が相次いだことで白紙撤回となってしまったロゴを試してみます。

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残念ながら、スコアは「0.882」。Memorabilityも「Very High」ではなく「High」のランクに。赤色の部分も明確なエリアを形作りませんでした。

画像の上下左右に余白がないことが原因とも考えられるため、少し空間を入れて再計算してみました。

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その結果、スコアは「0.901」に上がりました。やはり余白がなかったことが原因だったようです。このようにスコアを見ながら修正する活用方法もあるみたいですね。

最後に、みなさんもご存じ「田辺誠一画伯」が作成したロゴを試してみたいと思います。

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これは意外なことに、なんと最高スコアの「0.926」を出しました。シンプルでわかりやすい構図が高評価を得たのでしょうか。冗談抜きで、悪くないのかも知れません。

(※あくまで「MemNet」が評価する「記憶しやすさ」の評価です。)

今回使用したMemNetのデモ版はホームページで公開されています。

(via GIZMODO