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小児特有の免疫反応が新型コロナウイルス感染症で重症化しにくいことと関係している可能性

新型コロナウイルス感染症で小児が重症化しにくいのはなぜか。その理由と関係する可能性がある特有の免疫反応が発見されました。




新型コロナウイルス感染症は、基礎疾患をもっていたり肥満の患者が重症化しやすい一方で、小児は成人と比べて重症化しにくいことがわかっています。

このウイルスには、ほかの類縁ウイルスではみられない特有のアクセサリータンパク質ORF3dとORF8が存在します。

これらのタンパク質はウイルスの増殖には必須ではありませんが、宿主のもつ防御反応に対抗することで、増殖を助ける働きがあると考えられています。

これまでの研究では、ORF3dはインターフェロンの働きを抑制すること、ORF8はMHCクラスIの働きを抑え、細胞障害性T細胞の機能を抑制することが報告されています。

特に、ORF8遺伝子を欠失したウイルスでは重症化しにくいことも報告されています。

石川県立大学の研究グループは、新型コロナウイルスに感染した小児と成人について、これら2つのアクセサリータンパク質に対する免疫反応を比較しました。

その結果、小児ではこれらのアクセサリータンパク質に対して成人よりも多くの抗体が産生されることが明らかになりました。

この小児に特有の免疫反応が、成人と比較して重症化しにくいことと関係している可能性が示唆されました。

なぜ、小児は新型コロナウイルスで重症化しにくいか。成人とは異なる免疫学的反応を発見