染色体の大規模な構造変異を検出するアルゴリズムを開発、がん化の原因究明や早期発見に

2016年2月12日　バイオニュース／ニュース，

　染色体の大規模な構造変異を高精度かつ高感度で検出できるアルゴリズムを開発したと、産業技術総合研究所などの研究チームが科学誌「Nucleic Acids Research」で発表した。細胞のがん化の原因究明やがんの早期発見への応用が期待される。

　近年、がん化した細胞では特徴的な構造変異が頻繁に観測されており、この構造変異を高精度かつ高感度に検出することで、がん化の早期発見や的確な治療法の選択につながると期待されている。しかしこれまでの技術では、感度や精度が高くないため実用化に向けて改善が望まれていた。

　研究チームは、超並列シーケンサーから得られたゲノム配列の情報をもとに、細胞ががん化する際にどのような構造変異が染色体上に発生したかを精度よく検出するソフトウェア「COSMOS」を開発した。

　マウスES細胞などを使って検証したところ、従来の手法を上回る精度や感度を実現することが確認された。

　一方、がん細胞の割合が低い場合は検出感度が落ちる傾向があるため、今後はアルゴリズムの改善などで感度の向上を目指すとしている。

（via AIST）