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代謝型グルタミン酸受容体mGluR1が小脳神経回路を成熟

 プルキンエ細胞に発現する代謝型グルタミン酸受容体「mGluR1」が樹状突起近位部からの並行線維シナプスを除去することで、異種入力線維のテリトリーが分離すると、北海道大や札幌医科大などの研究チームが米科学アカデミー紀要で発表した。

 過剰で重複の多い初期の神経回路は、生後早期の神経活動によってシナプス回路の選択的強化及び除去が行われ、機能的な神経回路がつくられる。

 小脳のプルキンエ細胞は精緻で円滑な運動機能に関わるニューロンで、その樹状突起の近位部を一本の登上線維が支配し、十万本の平行線維が遠位部を支配するという、得意な神経回路の構築を特徴としている。

 研究グループはこれまで、細胞内カルシウム濃度調節やシナプス接着に関わる分子機構が登上線維間の同種競合や平行線維との異種競合を促進することで、登上線維の単一支配を確立することを明らかにしてきた。

 今回、生後早期のマウスのプルキンエ細胞では樹状突起の全域にわたって平行線維シナプスが形成され、生後15~20日で樹状突起の近位部から除去されることで、近位部の登上線維テリトリーと遠位部の平行線維テリトリーに分離することがわかった。

 また、この平行線維シナプスの除去にはプルキンエ細胞に発現する代謝型グルタミン酸受容体mGluR1が関与していることも明らかになった。

(via 北海道大学