バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.1 Wed

生殖細胞ゲノムを守るpiRNAを成熟させるタンパク質「Trimmer」の同定に成功

 トランスポゾンの働きを抑えて生殖細胞のゲノムを守る「piRNA」を成熟させるタンパク質「Trimmer」を同定したと、東京大の泊幸秀教授らの研究グループが科学誌「Cell」で発表した。

 ヒトを含む生物にはゲノム上を自由に動く「トランスポゾン」と呼ばれる配列が存在する。トランスポゾンが無秩序に移動すると生物の遺伝情報を破壊するおそれがある。

 近年、piRNA(PIWI-interacting RNA)と呼ばれるRNAが生殖細胞に発現してトランスポゾンの活性を抑制することが明らかになってきた。

 piRNAは、前駆体RNAがタンパク質「PIWI」に取り込まれた後で、その末端が「Trimmer(トリマー)」に削られて成熟型になると考えられてきたが、Trimmerはこれまで見つかっていなかった。

 研究グループは、piRNAを発現するカイコの卵巣由来の細胞を用いて、Trimmerを同定することに成功した。

 Trimmerは単独では機能せず、別のタンパク質「Papi」と協力してpiRNA前駆体の末端を削り込むこと、TrimmerとPapiによってpiRNAが成熟することが機能を発揮する上で重要であることがわかった。

参考:東京大学