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「暗黒バエ」の暗闇適応に関わるゲノム配列の絞り込みに成功

 暗所で優位に子孫を残す「暗黒バエ」の環境適応に関わるゲノム配列を絞り込むことに成功したと、京都大の阿形清和教授らの研究グループが科学誌「Genes Genoms Genetics」で発表した。

 1954年から暗闇で継代された「暗黒バエ」は眼がなくなるなど大きな形態変化はないが、暗所で野生型より優位に子孫を残すことができ、暗闇に適応していることが示唆されている。

 これまでに暗闇バエの全ゲノム配列が決定され約22万の1塩基多型(SNP)が同定されたが、どのSNPが暗闇適応に関与するかについてはわかっていなかった。

 研究グループは、暗闇バエと野生型ハエを1対1で混合した約1000匹の集団を明所と暗所で継代した。継代を繰り返すなかで、暗闇適応に関わるSNPは暗所集団で頻度が上昇すると予想される。

 0、22、49世代目の集団のゲノムを解析して暗黒バエSNPの頻度変化を調べたところ、約6%のゲノム配列が暗所で選択されることがわかった。

 暗闇適応に関わる候補遺伝子として84遺伝子が同定され、この中には嗅覚や概日リズムに関係する遺伝子が含まれていた。

参考:京都大学