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変形性関節症の治療ターゲットを特定、治療薬のリード化合物「プテロシンB」を発見

 変形性関節症の治療ターゲットタンパク質を同定し、その阻害物質を発見したと、京都大の妻木範行教授らの研究グループが科学誌「Nature Communications」で発表した。新しい治療薬の開発につながると期待される。

 変形性関節症は、関節のなめらかな動きに必要な軟骨が変性する病気で、加齢や関節への負荷、メタボリックシンドロームがリスク要因として知られている。

 これまでの研究で、変形性関節症の軟骨細胞は通常の細胞と比べてより成熟した細胞(肥大軟骨細胞)の性質をもつことがわかっていた。

 研究グループは、「Sik3」遺伝子を欠失したマウスでは関節軟骨が厚くなり、変形性関節症の進行が抑えられることを突き止めた。

 さらに、Sik3のシグナル伝達系を抑制する化合物を探索したところ、植物成分由来の化合物ライブラリーの中で「プテロシンB」がSik3の活性を抑制することがわかった。

 変形性関節症のモデルマウスの関節にプテロシンBを注入したところ、症状が抑えられることもわかった。

参考:JST