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注射代わり、貼るシート/メドレックスが共同開発

 医薬品開発のメドレックス(香川県東かがわ市)は、帝人と共同で、微細な針が剣山のように並んだ貼り薬用のシートを開発した。皮膚に貼るだけで注射器のような役割を果たし、痛みを感じることなく、薬を投与できるという。臨床実験を経て、2020年の製品化を目指す。

 微細な針は、太さ0・02~0・03ミリ、長さ1ミリ以下で、「太さは蚊の針よりも細い」(メドレックス)という。突起部分に薬やワクチンを塗って使用し、短い場合では数十分で体内に薬剤を浸透させる。針の細さなどから神経を刺激しにくく、痛みを伴わないため、注射が苦手な子どもの予防接種への活用などが期待できる。

 針の素材には、刺さった針が折れても体内で自然に分解されるよう生分解性のポリエステルを採用。これまでは金属製が中心で、金属アレルギーのほか、折れて体内に残った場合の影響が懸念されていた。生分解性の素材にすることで人体への影響はないとされ、金属製に比べて製造コストも安いという。

 帝人は、針にあらかじめ薬を塗った状態で売り出す計画で、病院で薬剤を塗る手間が省けるなどのメリットがある。事業化されれば、帝人が生産などを担当。メドレックスは技術ライセンス料を受け取る予定。

 メドレックスは「痛みを伴わずに注射の役割を果たせる画期的な方法。早期の製品化を目指したい」としている。

 出典 SHIKOKU NEWS