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山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

yamanaka
¥1,260
祝・ノーベル賞受賞! 唯一の自伝。はじめて明かした、研究人生とiPS細胞のすべて
決して、エリートではなかった。「ジャマナカ」と馬鹿にされ、臨床医をあきらめた挫折からはじまった、僕の研究――。

本の説明

内容(「BOOK」データベースより)
日本で最もノーベル賞に近い男がはじめて明かした、研究人生のすべて。決して、エリートではなかった。「ジャマナカ」と馬鹿にされ、臨床医をあきらめた挫折からはじまった、僕の研究―。
内容紹介
■祝・ノーベル賞受賞! 唯一の自伝。はじめて明かした、研究人生とiPS細胞のすべて

決して、エリートではなかった。「ジャマナカ」と馬鹿にされ、臨床医をあきらめた挫折からはじまった、僕の研究――。

■「iPS細胞ができるまで」と「iPS細胞にできること」

ぼくは医師であるということにいまでも強い誇りを持っています。臨床医としてはほとんど役に立たなかったけれど、医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです(本文より)

■読みやすい語り口で、中学生から読める

父は町工場の経営者/高校柔道部から受験勉強に邁進/「ジャマナカ」と蔑まれた研修医時代/臨床医としての限界/はじめての実験/求人広告に手当たり次第応募/オスマウスが妊娠?/帰国/「アメリカ後うつ病」にかかる/新入生争奪戦/遺伝子を二四個まで絞り込んだ!/論文捏造スキャンダルの陰で/再生医療の可能性/病気の原因解明と創薬 (本書の内容より)

amazonカスタマーレビューより

山中先生の研究に向けた姿勢、これまでの経験、そして、iPS細胞の意義が、山中先生ご自身の言葉で、非常に分かりやすく説明されています。彼の人格、研究への想いが、優しい語り口で、伝わってきます。これからの研究を目指す人だけでなく、科学に興味のある小学生高学年以上の方には、是非とも読んでもらいたい内容です。

ノーベル賞受賞者というと、天才肌で近付き難いイメージが有ります。しかし、山中先生は、研究では勿論厳しい方と思いますが、それ以外では、マラソンに参加し、ジムにも通い、お酒も楽しむ、ある意味、普通の感覚をお持ちの方だと思います。

本書で語られる「人間万事塞翁が馬」「研究には、ビジョンとハードワークが必要」というのは、全ての仕事に通じる内容。臨床医時代に、他の医者が20分でできる手術を2時間もかかってしまい、上司からは「じゃまなか」と言われ続け、悩み続けた末に、基礎医学に転じた経緯は、まさに「人間万事塞翁が馬」そのものと思います。
最も印象的だった言葉は、最後の「臨床医としてはほとんど役に立たなかったけど、医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです。」
素晴らしいお考えで感動しました。

全体構成としては、二部構成で、2/3を占める第一部は、山中先生ご自身の執筆部分。その中の前半は、生い立ちを含めて、本当に分かりやすい内容。後半は、iPS細胞に関わる専門的な内容を、注釈を含めて読み解いてくれている部分。若干、考えながら読んで行く必要が有りますが、この部分を理解する事が、今回の業績を理解する上での真髄とも言えます。また、同時受賞のイギリスのジョン・ガードン博士の業績と、山中先生の研究との関係も説明されており、「どうしてこの博士と受賞なの?」という疑問をお持ちの方には、興味深い内容と思います。
残りの1/3は、インタビューで、第一部で語り尽くされなかった、読者が疑問に思うような内容を補足する形式で、先生の考え方が展開されています。

全ページ数が200ページ弱と少なめで、文字も比較的大きく、分かりやすい文章なので、多くの方が、それほど苦労無く読み切れる著作だと思います。

by ネットベアー

今、京都大学の山中先生の名前を聞いて、「誰、その人?」と言う日本人はよほど特殊な環境下におかれた人だと思います。
従来より、非常に有名な名前でしたが、『時のヒト』として急速に日本中(あるいは世界中)にその名前が知れ渡ったのは2012年のノーベル医学・生理学賞の受賞が山中先生に決まったと発表されてからだと思います。
この本はその山中先生の自伝であり初版が2012年10月10日であったのに対して第三刷が10月19日であることをみれば如何に売れているかが分かります。しかし、売れているから良い本とは限らないのは、世の中によくある話です。例えば、ノーベル賞受賞決定が2012年10月8日で発売日がその2日後というタイミングがうまくはまり、一時的に売れたということも十分ありえることなのです。
以前よりiPS細胞に興味のあった私はかなり前からiPS細胞の書籍をかなり読んできましたが、その中には私の知的好奇心を満足させた数冊の本(*後記)があり、今回の山中先生の自伝には大した期待もなく、読み始めたのです。しかし、この本は違っていました。私の好奇心を刺激することはない『しょうもない本だろう』と思ったのが大きな過ちであったことに気付くのにそれほど時間はかからなかったのです。
この本全てが素晴らしいのですが、私は特に次のいくつかの点(3つの教訓など)に感心(感動?)しました。
○人生初の薬理学実験で学んだ教訓が3つあること。
1つ目;科学は驚きに満ちている。つまり科学の面白さは予想通りの結果にならないところにあること。
2つ目:予想外のことが起こるからこそ、新薬、新治療法を、準備なしにいきなり患者さんに使用することは絶対にしてはならない。必ず事前に動物実験をおこなって、安全性や効果を十分確かめておかなければならないこと。
3つ目:先生のいうことをあまり信じてはならないこと。先入観を持たずに真っ白な気持ちで現象に向かうこと。
山中先生も「こういう大切なことを最初の実験で学べたのは幸運でした」と述べておられます。事実、このことは現在に至るまでぶれることなく山中先生の言動に貫かれているのです。
○ヒトのiPS細胞の作製成功に関する論文を有名な雑誌「CELL」に載せて発表する時間との闘いの部分は短い文章ですが息詰まるものがあります。
標題にも書きましたが、とにかく久しぶりにドキドキ感やワクワク感を私に与えてくれた一冊でした。
さらに追加しておきたいことは、山中先生のジョークが天下一品であることを示す箇所は英語を大阪弁にして訳してなごませる手法に表れていると思います。

by suzuobellman

ノーベル賞の山中教授が、研究室のメンバーや家族への感謝の気持ち、iPS細胞研究について、率直に語った本。

やるかやらないかの選択を迫られたとき、やらなくて後悔するくらいなら、やってから後悔する。チャレンジをやめるとそこから先へ進むことは決してできないというメッセージに共感したそうで、アメリカから帰国して「うつ」になったとき、自己啓発本をたくさん読んで学んだことがいろいろあると述べている。

医師をめざすまでの話、神戸大学医学部時代の話、臨床医から基礎医学に進路変更した大阪市立大学大学院時代の話、大学院卒業後、博士研究員(ポスドク)として、たくさん応募した中でやっと採用してくれたグラッドストーン研究所での研究生活の話、その後、奈良先端科学技術大学院大学で、上に教授がいない唯一の助教授として採用された話。この大学院大学で、iPS細胞発見を支えてくれる仲間たちと出会うことになる。その後は、奈良先端大には医学部がないので京都大学再生医科学研究所に転職して、今回の発見に成功する。

24個まで絞った遺伝子から、初期化に必要な因子をどうやって見つけるか、24個から2個、24個から3個と選ぶ組み合わせは膨大なもので、ぜんぶ実験できない。そんなとき「24個全部入れて、1個ずつ除いて行ったらええんやないですか」と言ったのが、奈良先端大のときの学生で、一緒に京大に移ってくれた「高橋君」と書いている。「ほんまはこいつ賢いんちゃうか」と思ったという山中教授に、その優しさが伝わってくる。

「理論的に可能なことがわかったら、必ずできるようになる」と述べている。再生医療と新薬開発を実現させて、難病の患者たちを治したいという山中教授の熱い気持ちが、よく分かる本だと思う。

by なんださか