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現場の医師がジェネリックに不信感を抱く理由とは

ジェネリック医薬品

日本では後発医薬品(ジェネリック)のシェアが欧米の先進国と比べて低く、政府は2020年までにシェア8割を目指しています。しかし厚生労働省の調査によると、現場の医師の半数以上がジェネリックに対して「不信感がある」と回答しているという。




日本ジェネリック製薬協会によると、「ジェネリック医薬品は先発品と同じ有効成分を使っており、効き目、品質、安全性が同等な薬でありながら、低価格な薬」と説明しています。

一方、厚労省の調査でジェネリックに「不信感がある」と回答した理由を聞いたところ、最も多いのは「新薬(先発品)との効果・副作用の違い」で67.9%、次いで「新薬(先発品)との使用感の違い」38.6%という結果になっています。

先発品と後発品の違い

日本医師会によると、ジェネリックは先発品と「基剤」が異なるため、変えた途端にアレルギーを起こしたり、外用薬では効果が減少することを指摘する皮膚科医が多数存在するという。

また実際に出回っているジェネリックの中には、血中濃度が先発品の半分にも満たない例や、除放性降圧剤の後発品で、徐々に薬剤が放出されずに血中濃度が一気に上昇してしまう例もあるという。

そもそもジェネリックの有効性の試験では、統計学的に先発品との差が20%の範囲内であれば差がないとされます。多少なりとも効果の強弱があったとしても「有効性は同じである」と判断されます。

ジェネリックの中には、たとえば有効成分の特許は切れていても「製剤特許」が切れておらず、先発品と同じ添加物を加えることができないケースもあります。

患者がジェネリックを選択するか把握できない

また、日本医師会は行政改革推進会議で制度上の問題点も挙げています。

保険薬局でジェネリックに変更した場合、その情報は医療機関へ提供されることになっています。しかし、患者がどの薬局に行くのか、その薬局でどのようなジェネリックを用意しているのかについて、医師が事前に把握できない場合が多いという。

医療費目当てでジェネリックをすすめるケース

ジェネリックのシェアを上げるため、現在の診療報酬制度ではジェネリックを積極的に取り入れる調剤薬局に政府が報酬を出す仕組みになっています。そのため、医療費目当てで患者にジェネリックをすすめる薬局には注意が必要だという意見もあります。

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2013年における日本のジェネリックのシェアは46.9%。8割前後のシェアをもつ欧米と比較すると相当遅れているのは間違いありません。医療費の税負担の軽減のためにも政府としては一刻も早くジェネリックの普及を促したいところ。しかし、安く済むからといって安易にすすめるべきではないのも事実のようです。

(via iza