カナダの研究グループがラットのためのカジノをつくって、「ハイリスク・ハイリターン」を好むギャンブラーにする実験をしています。いったいどのようなカジノでしょうか。
ブリティッシュコロンビア大学の研究グループがラットのために用意したギャンブルは、4つのボタンのうちのどれかを押すと「おやつ」が出てくるギャンブルです。
当たりのボタンを押すとご褒美のおやつが出てきますが、はずれるとギャンブルが中断されてしまいます。当たりとはずれの確率、出てくるおやつの個数、そして中断時間を各ボタンごとに変えることで、「リスクとリターン」の種類をうまく作り上げました。
ラットにとって最適な戦略としては、報酬は小さいがリスクも小さいボタンを押し続けて着実にえさを得ることです。
ギャンブルモードに突入
通常の条件下では、ラットたちは最も確実に報酬が得られるボタンを覚えてそのボタンを押し続けていたそうです。
ところが、「光と音」という刺激を加えると、なんとラットたちは「ハイリスク・ハイリターン」のボタンを押す行動をとるようになったそうです。
ちょうど、人間世界のスロットマシンで大当たりが出ると派手な光や音で演出されるように。
ドーパミンD3受容体
研究論文ですから、実験はこれだけでは終わりません。
研究グループは、ラットに脳内の「ドーパミンD3受容体」を活性化する薬剤を与えました。すると、このギャンブルモードの傾向はより一層強まったといいます。
逆に、この受容体を拮抗薬で遮断してしまうと、ラットたちはギャンブルモードから通常の行動に戻りました。
ちなみに、光や音による刺激を加えていないラットについては、拮抗薬の影響はほとんど見られなかったそうです。
ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・M・バラス氏はD3受容体について、「薬物中毒に大きな影響を及ぼす」としており、さまざまな危険行動には共通の生物学的原因があるとしています。
(via WIRED image by Panchenks)