人間は言葉を話しますが、ほかの動物でも特別な「声」を発して仲間と情報を交換し合っているケースはたくさんあります。そして人間と同様に、地域によって微妙に違う「方言」があるそうです。
海中で暮らす魚は、獲物を捕らえるときや繁殖時などに特有の音を発して情報伝達をしています。
エクセター大学の海洋生物学者、スティーブ・シンプソン教授らの研究グループは、野生のタラを対象に魚の「方言」を調べています。
タラは「浮き袋」を使ったさまざまな音を発して、自分の縄張りに入った別のタラに警告を発したり、繁殖のために相手を惹きつけたりするのだという。
ところが、同じタラでもアメリカの種とヨーロッパの種では音に違いがあることがわかりました。
アメリカのタラは「ドシンドシン」という低い音を発するが、ヨーロッパのタラが発する音はもっと高い音を使い、より長い音を出すという。
これは、同じ種の魚であっても生息する地域によって方言が存在することを意味しています。
近年、地球温暖化によって海水温度の変化が生じており、それによって問題が発生する可能性があるそうです。
どういうことかというと、これまで生息していた海域の海水温が上昇するため、より低い温度の地域を求めて一部のタラが北上を始めているのだという。
すると「方言」が異なるタラと遭遇することになり、それまで使っていた「言葉」では通じなくなる危険性があるわけです。そうなると、魚の集団でこれまで維持されていた秩序が崩壊するおそれがあります。
はたしてどのような問題が発生するのか、地球温暖化による影響は思わぬところで生じる可能性があります。