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抗疲労作用物質に応答する嗅覚受容体を特定 新たに疲労を抑制する「香り」も特定

嗅覚受容体の特定

 抗疲労作用をもつ2種の香りに応答する受容体を特定し、この受容体を活性化する香料の混合物を新たに特定したと、大阪市立大の渡辺恭良特任教授らの研究グループが発表した。新しい抗疲労技術の開発につながるという。

 香りは嗅覚受容体を介して認識されるが、1つの香りは2個以上の受容体で認識されることが多い。活性化する受容体の組み合わせによってヒトや動物は数十万種類の香りをかぎ分けることができる。

 研究では、ヒトの嗅覚受容体を発現させた培養細胞を使って、約400種の受容体のうちどの受容体が抗疲労作用を示す香りに応答するかを調べた。抗疲労作用を示す香りとしては、「cis-3-hexenol」と「trans-2-hexenal」の混合物と、グレープフルーツ精油を使った。

 その結果、6種の受容体(1A1、2J3、2W1、5K1、5P3、10A6)が2種の香りで共通して活性化されることがわかった。

 また、これら6種の受容体に対し、それぞれ活性化する新しい香りの探索を行ったところ、「メチルイソオイゲノール」「l-カルボン」「メチルβナフチルケトン」「フェニルエチルアセテート」の4種の香料の混合物であるハチミツのような甘い花の香り(MCMP)が、6種の受容体を活性化することがわかった。

 そこでMCMPの抗疲労作用を調べたところ、香りなしの場合は疲労負荷後の課題正答率が低下するのに対し、香りありの場合は正答率の低下が認められず、疲労が抑制されたことが示された。

(via 財経新聞