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放射線を受けた細胞では「ヒストン」が構造変化

 放射線を照射された細胞では、染色体を構成するタンパク質の立体構造が変化することを、日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究センターの横谷明徳リーダーらの研究グループが発見した。放射線がん治療による放射線障害の抑制などの研究につながる可能性がある。

 放射線を照射された細胞は、培養するとDNAを修復する。研究グループは、30分間培養してDNA修復させた細胞から染色体を構成するタンパク質「ヒストン」を取り出した。

 放射線を照射していない細胞から取り出したヒストンと、二次構造の状態を比較したところ、照射した細胞中のヒストンは非照射と比べて「αへリックス」構造が多く含まれることがわかった。

 傷ついたDNAの修復を促す作用と考えられることから、同様の構造変化を人工的に促す技術を開発することで、放射線がん治療による放射線障害を抑制や防止する方法への貢献が期待される。

(via 日刊工業新聞