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ハスの葉を鋳型にメタマテリアルを作製 反射率1%以下の超薄膜光吸収構造

ハスの葉で光吸収メタマテリアル

 ハスの葉のナノ構造を鋳型に使った高効率かつ大面積の「超薄膜光吸収メタマテリアル」の作製に成功したと、東京工業大の梶川浩太郎教授らの研究グループが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。生体がもつナノ構造を鋳型にした様々なメタマテリアルの低コストな作製につながるという。

 光メタマテリアルは人工的なナノ構造を使ったさまざまな光学的性質を示す物質で、負の屈折や物質の負可視化などに利用できるとして注目を集めている。これまでは微細加工技術を使って作製されてきたが、低コストで大面積のものを作製することは困難だった。

 研究グループは、走査型電子顕微鏡によってハスの葉の表面に直径100ナノメートル程度の多数のマカロニ状のナノ構造があることを発見した。

 そこで、ハスの葉の上に膜厚10~30ナノメートルの金を被覆して、照射された光をトラップして外に逃がさない光メタマテリアル構造を作製した。このメタマテリアルは、すべての可視光領域で反射率が1%以下という良好名光吸収構造を示すという。

 この構造は極めて薄い金属膜で光吸収構造が構築できることから、太陽電池の効率向上や、高効率な光熱変換材料として期待できる。

(via 東京工業大学