バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.3 Fri

細胞膜をタンパク質が通る道「タンパク質膜透過チャネル」の機構を解明

Secトランスコロン

 細胞質で合成されたタンパク質が細胞膜を透過する「タンパク質膜透過チャネル」の詳細な構造を解析し、その仕組みを解明したと、奈良先端科学技術大学院大の塚崎智也准教授らの研究グループが科学誌「Cell Reports」で発表した。生命活動に必須なタンパク質輸送の基礎研究の発展に貢献するとしている。

 細胞質で合成されたタンパク質は細胞膜を越えて移動する必要があるが、そのための通り道としてタンパク質膜透過チャネルがあり、「Secトランスコロン」と呼ばれるタンパク質複合体で構成されている。

 これまでにいくつかのSecトランスコロンの構造が解析され、さまざまな膜透過モデルが提唱されているが、詳細な議論をするための情報は不足していた。

 研究グループは、高度好熱菌由来のSecYEG複合体(最近型Secトランスコロン)の立体構造をこれまでにない高い分解能で解析し、新たな構造情報を得ることに成功した。

 この構造情報に基づき研究を進めたところ、タンパク質が透過していない「閉状態」のチャネルでは「キャップ(蓋)」がされており、タンパク質が透過する際にその蓋が外れるという機構があることを突き止めた。

(via JST