バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 4.28 Sun

サラブレッドの扱いやすさがセロトニン受容体の遺伝子型で違う

ウマの扱いやすさ

 JRAの牧場で乗り馴らし中のサラブレッドを観察したところ、セロトニン受容体遺伝子の遺伝子型によって扱いやすさに違いがあることがわかったと、京都大の藤田和生教授らの研究グループが英科学誌「Animal Genetics」で発表した。飼育管理方法やウマの適性評価などへの応用が期待される。

 ウマは家畜動物として長い歴史をもつが、遺伝子型と行動との関連についてはよくわかっていない。

 研究グループは、JRA日高育成牧場で2011年~2013年に飼育され、騎乗馴致(乗り馴らし)を受けたサラブレッド1歳馬167頭を対象に馴致難易度(扱いやすさ)を行動観察によって評定した。

 不安や恐怖の調節に関連する神経伝達物質であるセロトニンの受容体1A遺伝子(HTR1A)の型判定を行い、行動に違いが見られるかを分析した。

 行動を評定したウマの血液からDNAを抽出してHTR1Aの配列を調べたところ、709番目の塩基に一塩基多型(SNP)があり、グアニンの場合とアデニンの場合の2種類の対立遺伝子があることがわかった。そして、遺伝子型によって扱いやすさが統計的に有意に異なることがわかった。オスよりもメスで顕著だったという。

 遺伝子型から個体の性質を予測できれば、それに合わせた飼育管理方法の開発や、乗馬やセラピーホースなどの適性の評価などに応用が期待されるという。

(via 京都大学