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ゲノム編集技術による新規の遺伝子挿入法「PITChシステム」のプロトコールを発表

PITChシステム

 相同組換えに依存せずに遺伝子を挿入する技術「PITChシステム」の詳細な方法について、広島大の佐久間哲史特任講師らの研究グループが英科学誌「Nature Protocols」で発表した。ヒト培養細胞における外来遺伝子の挿入の方法を簡略化し、約1カ月半で目的遺伝子を挿入した細胞株が樹立できるという。

 人工DNA切断酵素であるTALENやCRISPR-Cas9を用いたゲノム編集技術によって、染色体上の狙った位置に外来遺伝子を挿入する方法がある。一般的には相同組換えを用いるが、その活性が低い細胞種や生物種では挿入効率が低いという問題点があった。

 研究グループは、相同組換えに依存しない新規の遺伝子挿入法としてPITChシステムを考案して2014年に発表している。今回の論文では、その詳細なプロトコールを発表した。

 PITChシステムでは、相同組換えとは異なるDNA二本鎖切断の修復機構「マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)」を利用している。

 従来法では目的遺伝子の両側に500~1000塩基対ほどの相同配列を付加したベクターを作製する必要があるが、今回の手法では20塩基対ほどで可能なため、ベクターの作製工程が大幅に簡略化できるという。

 相同組換えに依存しないためPITChシステムは、従来法では遺伝子挿入が困難だった細胞種や生物種でも利用できるため、ゲノム編集技術の適用範囲を広げることができる。また、ドナーベクターの構築が簡便なため、高いスループットを必要とする用途でも役立つ可能性があるとしている。

(via 広島大学

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