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ES細胞から高効率で始原生殖細胞へ分化、90%超の効率で誘導する遺伝子発見

ES細胞から始原生殖細胞

 卵子や精子のもととなる「始原生殖細胞」への分化を制御する新たな遺伝子を発見したと、北海道大と英ケンブリッジ大の研究チームが英科学誌「Nature」で発表した。高価なタンパク質を使わずにES細胞から始原生殖細胞へ高効率で分化できるという。

 生殖細胞のもとになる始原生殖細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)から作ることができるが、高価なタンパク質を必要とする上、分化効率が約40%と低いことから、多大な時間と費用がかかることが課題だった。

 研究グループは、生殖細胞へ分化すると緑色蛍光を発するES細胞を使って生殖前細胞を作製し、初期生殖細胞の誘導を促進する遺伝子を探索した。

 その結果、iPS細胞をつくる過程で重要な転写因子「Nanog」を入れると90%以上の効率で始原生殖細胞が生じることがわかった。Nanogは生殖細胞の発生に必要な3つの遺伝子の発現制御領域に結合して誘導するという。

 ES細胞から安定的に始原生殖細胞を得ることができるため、生殖細胞の発生メカニズムの解明や、生殖医療の基礎研究の促進などに貢献するという。

(via 北海道大学