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感覚ニューロンが危機回避行動を調節する仕組みを解明

 ショウジョウバエの幼虫が体表を覆う痛覚神経細胞によって危機回避行動を調節する仕組みを解明したと、京都大の上村匡教授らの研究グループが英科学誌「eLife」で発表した。

 ショウジョウバエの幼虫は天敵である寄生蜂に襲われた際に、歩行速度を急上昇させる「ダッシュ行動」や寝返りを繰り返す「スピン行動」をとる。

 いずれも全身の体表にある痛覚神経細胞の活動が引き金になるが、どのようにして2つの行動パターンを個体が選択するかはよくわかっていなかった。

 研究グループは、感覚ニューロンに局所的な刺激を与えたときの生理的な応答を高精度で解析できる観察装置を準備した。

 さまざまな強度の高温刺激を与える実験をしたところ、ある温度以上の刺激を受けた際に通常の「連続的な発火」に加えて特徴的な「繰り返し群発発火」が発生することを発見した。

 さらに、「繰り返し群発発火」の発生が、実際にスピン行動の選択に拍車をかけていることを確認した。

 同一の感覚ニューロンが刺激の強さに応じて異なる発火パターンを作り出すことで、個体の行動パターン選択を柔軟に調節しているという。

(via 京都大学