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AISの原因遺伝子LBX1が側弯を引き起こす仕組みを解明

 思春期突発性側弯症の原因遺伝子が側弯を引き起こす仕組みを解明したと、広島大の宿南知佐教授らの研究グループが米科学誌「PLOS Genetics」で発表した。AISの治療法の確立につながると期待される。

 脊柱側弯症は背骨が側方に曲がりねじれる病気で、そのほとんどは原因不明の思春期突発性側弯症(AIS)と呼ばれるタイプ。特に女性に多く、日本人の約2%に見られるとされている。

 これまでの研究で、AISと強く相関する一塩基多型「rs11190870」がゲノムワイド相関解析によって発見されている。その近くに遺伝子「LBX1」があるが、AIS発症との関連性についてはわかっていなかった。

 研究グループは、rs11190870を含むゲノム領域がLBX1遺伝子のプロモーター領域に作用してその発現を上昇させることを突き止めた。

 次に、LBX1とそのゼブラフィッシュ相同遺伝子(lbx1a、lbx1b、lbx2)をゼブラフィッシュで過剰発現させたところ、胚の体軸が弯曲することがわかった。最も重篤な弯曲はlbx1bによって誘導された。

 さらに、lbx1bをゼブラフィッシュの筋肉以外の内在性発現領域でモザイク状に発現させたところ、脊椎骨の奇形を伴う側弯と脊椎骨の形態異常を伴わないAISによく似た側弯が誘導されることがわかった。

 興味深いことにAISに似た異常を示す個体は、ヒトのAISと同様に、メスに多かったという。

(via 広島大学