超電導磁石の強力な磁場によって擬似的な微小重力環境をつくり、高品質なタンパク質結晶を効率よく作製するシステムを開発したと、東京大の田之倉優教授らの研究グループが科学誌「Scientific Reports」で発表した。
タンパク質の立体構造を精密に決定するには目的のタンパク質を結晶化して「X線結晶構造解析法」で解析するのが一般的。
宇宙の微小重力環境では、重力による対流が生じないために高品質な結晶が得られることが知られている。しかし現実的には利用の機会は限られている。
研究グループは、超電導磁石の強力な磁場で擬似的な微小重力条件をつくり、高効率にタンパク質結晶を生成するシステムを開発した。
開発したシステムでは、微小重力環境で観察が可能な顕微鏡装置が組み込まれており、結晶化プレートを微小重力環境から取り出さなくても結晶生成の様子を確認することができる。
また、専用に開発したプレートを使用することで、同時に200を超える条件で結晶化実験を実施することができる。
参考:東京大学