世界で初めて円石藻の遺伝子導入技術を確立、バイオ燃料生産などに期待

2016年3月21日　バイオニュース／ニュース，

　海洋性の単細胞藻類「円石藻」に対する遺伝子導入技術の開発に世界で初めて成功したと、東京大大気海洋研究所の井上広滋教授らの研究グループが科学誌「Scientific Reports」で発表した。バイオ燃料や原油代替原料の生産への利用につながると期待される。

　円石藻は、脂質を大量に貯蔵する種や原油の原料となる脂質を生産する種があり、バイオエネルギー研究の観点から注目されている。

　しかし円石藻には石灰化した強固な細胞壁があることから、遺伝子導入の技術が確立されておらず、その開発が求められていた。

　研究グループは、円石藻の細胞をほとんど傷つけずに細胞壁だけを完全に除去する手法を確立した。

　次に、細胞壁を除去した細胞にポリエチレングリコール溶液を用いて外来遺伝子を導入し、その遺伝子が短時間でも細胞内で発現する手法を確立した。

　開発した手法を用いて、有用脂質の合成能の強化や、二酸化炭素固定メカニズムの解明への貢献が期待される。

参考：JST