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走化性細胞が応答範囲を拡張する新たなメカニズムを解明

 細胞が走化性の応答範囲を調節する新たなメカニズムを解明したと、理化学研究所の上田昌宏グループディレクターらの研究グループが米科学アカデミー紀要で発表した。

 細胞が化学物質の濃度勾配に沿って移動する「走化性」は、胚発生や免疫、神経回路形成などで重要な役割を果たしている。走化性細胞は10万倍という広い化学物質の濃度範囲にわたって、数%程度の微小な濃度差を認識できる。

 研究グループは、走化性応答の濃度範囲を広げるタンパク質「Gip1」を同定した。

 Glip1は「三量体Gタンパク質」を細胞質に保持し、外界の化学物質の増加に応じて細胞膜へと送り出す働きをすることがわかった。

 このような三量体Gタンパク質の局在調節という新たなメカニズムを用いることで、走化性細胞は適切に濃度勾配を認識し、応答範囲を拡張することが明らかになった。

参考:理化学研究所