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深海魚、熱帯域の生物… 唐津で相次ぎ発見

 佐賀県唐津市沖の玄界灘で、今年に入り、本来生息しない深海魚「リュウグウノツカイ」や熱帯海域の「アオイガイ」などの“珍魚”が、相次いで発見されている。海水温の上昇などが影響しているとみられるが、深海魚については原因は分からず、地元では驚きや海の異変を心配する声も漏れる。

 今年3月、唐津市の神集島沖合で発見されたのが深海魚「リュウグウノツカイ」。全長約4メートルで、定置網で捕らえられた。銀白の胴体と赤い尾びれが特徴で、数百メートルの深海に生息している。

 4月には熱帯海域に生息する「ヒョウモンダコ」や「アオイガイ」、6月に入ると日本近海の深さ500メートル辺りに生息する深海魚「サケガシラ」(約1・2メートル)も見つかっている。

 玄界灘の魚や貝の生態を研究する県玄海水産振興センターの山口忠則係長は、熱帯海域に住む生物の発見について「2007年までの調査で、壱岐水道の2月の海水温が30年前と比べ約1・5度上昇しており、越冬し子どもを産み育てる環境ができたことが原因として考えられる」と分析した。深海魚については「これまでも年間数匹発見されているが、はっきりとした原因は分からない」と話す。

 地元漁業関係者の中でも相次ぐ“珍客”は話題になっている。地震や大漁の前兆などの言い伝えを挙げる人も。市内で鮮魚店を営む大山拓朗さん(29)は市場で買い付けた珍魚を小学校などに寄贈している。「珍魚以外にも、沖縄の市場で見かける色鮮やかな魚や、春先の産卵期に卵を持たないサワラが唐津で水揚げされている。仲買人や漁師の間で海の異変を心配する声も多い」と話す。

 出典[佐賀新聞]