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脳内の神経信号の視覚化に成功

 東京大学先端科学技術研究センターの高橋宏知講師らは、2 mm角に1万個以上の計測点を有する微小電極アレイ上に神経細胞を分散培養した試料を用いて、活動電位が神経細胞内を複雑な形状の軸索に沿って伝播する様子を可視化することに成功した。

 私たちの脳には約1000億個もの神経細胞があり、複雑な神経回路網が形成されている。神経細胞は細胞体と軸索から構成されており、神経回路網内の神経信号(活動電位)は縦横無尽に張り巡らされた軸索に沿って伝播する。しかし軸索は直径1μm以下と非常に細いうえに、複雑に曲がりくねっているため、そこを高速で伝播する活動電位の可視化は技術的に困難であった。

 実験データから、活動電位の伝播速度は一定ではなく部位ごとに大きく異なることを明らかになった。また軸索の同じ部位でも、日によって活動電位の伝播速度が変化することがわかった。

 軸索は単なるケーブルではなく、それ自体が活動電位の伝搬を調整する能動素子であることを示唆しており、脳の新たな情報処理メカニズムの解明につながる可能性や軸索が創薬の新たな標的になる可能性を示すものです。

 出典 東京大学