バイオ研究と仕事術を紹介するネットメディア 5.16 Thu

脳の免疫細胞が運動の神経細胞を保護 ALSなどの脳神経疾患の治療へ

 大阪大学・山下俊英教授らの研究。脳を修復する免疫細胞とみられていたミクログリアが、運動機能をつかさどる神経細胞の保護にも関わっていることを発見した。

 ミクログリアは、病気などで障害を受けた脳組織を修復する免疫細胞と考えられているが、発達段階の脳における役割は不明であった。そこで、ミクログリアの機能を抑制して脳内を観察したところ、運動機能をつかさどる神経細胞に細胞死が誘導されることを発見し、ミクログリアが特定の神経細胞を保護する機能を持っているこが明らかになった。また、ミクログリアが放出するインスリンに似たIGF1という成長因子が保護機能に関与していることもわかった。

 このミクログリアによる神経回路の保護作用を誘導することで、運動機能が障害を受ける筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの脳神経疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されるとしている。

 出典[JST]