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虚弱体質の子牛が生まれる原因遺伝子を特定。子牛の生存率アップへ

 岐阜県畜産研究所(高山市)は、虚弱体質の子牛が生まれる原因となる遺伝子を特定したと発表した。原因の遺伝子を持つ親同士の交配を避ければ発症を防ぐことが可能で、遺伝子の特定で子牛の生存率が上昇すると期待される。

 虚弱体質の子牛は誕生時の体重が通常の半分の十五キロ程度で、発育も遅れがち。研究所は健康な牛と遺伝子を比較し、虚弱な牛には遺伝子の一部の配列に異常があって、タンパク質をつくる際に必要なアミノ酸の機能が低下していることを確認した。

 虚弱な子牛は異常のある遺伝子を持つ親同士を交配すると四分の一の割合で生まれる。親の一方がその遺伝子を持っていなければ、生まれることはない。

 研究は、虚弱な子牛が特定の牛の子供に集中しているのではないかとの地元農家から指摘を受けて、二〇〇四年から開始。畜産技術協会付属動物遺伝研究所(福島県西郷村)と共同で、遺伝子の特定や診断法を確立した。

 今後は県内の牛の遺伝子診断を進める一方、原因の遺伝子の牛同士を交配しないよう農家に呼び掛けていく。

 国は今年四月、虚弱症状を肉用牛の遺伝病として公表。県内では年間約一万頭の子牛が生まれるが、その1%が虚弱症状で亡くなっている。

 出典 中日新聞