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魚料理や肉料理をご飯の前に食べると血糖上昇を抑制 「インレクチン」の分泌を促進

食べる順番

 ご飯を食べる前に魚料理や肉料理を食べると血糖値の急上昇が抑制されることを明らかにしたと、関西電力医学研究所の研究グループが科学誌「Diabetologia」で発表した。糖尿病の予防や治療のための食事療法で「食べる順番」が効果的な科学的根拠が示された。

 食後の血糖上昇は糖尿病の発症のほか、心血管疾患などさまざまな糖尿病合併症の発症リスクとなることから、食後血糖を正常に保つことが重要な課題となっている。

 近年、炭水化物の前に蛋白質や脂質を摂取すると、GLP-1やGIPなど「インレクチン」と呼ばれる消化管ホルモンの分泌が促進されて食後の血糖上昇が抑制されるとして、食事療法への応用が期待されている。

 研究グループは、米飯の前に魚料理(サバの水煮)や肉料理(牛肉の網焼き)を食べることで胃運動がゆるやかになり、食後の血糖値の上昇が抑えられることを、2型糖尿病患者と健康な人の両方で確認した。

 このような「食べる順番」によって、GLP-1の分泌が促進されて胃の動きがゆるやかになり、胃で分解された米飯が小腸に移動して吸収されるまでの時間が2倍以上になったという。

 また、GLP-1分泌の促進作用は魚料理と肉料理で同等だったが、GIP分泌は肉料理で強力に促進されることがわかった。

 食物繊維が糖や脂質の吸収を抑制することから、米飯の前に野菜を摂取することで食後の血糖上昇を抑えることが一般に知られている。

 今回の研究結果と合わせて、最初に野菜を食べてから魚や肉料理をとり、最後に米飯や果物を食べることで効率的に血糖上昇を抑制できることが期待される。

(via 関西電力医学研究所