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耐塩性遺伝子をブラジルの大豆品種から発見、耐塩性品種の開発に期待

耐塩性遺伝子を発見

 ブラジルの大豆品種から耐塩性を調節する遺伝子「Ncl」を発見したと、国際農林水産業研究センターや北海道大などの研究チームが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。Ncl遺伝子は塩害畑でも高い収量を維持できることから、耐塩性大豆品種の開発が期待できる。

 大豆は世界でも重要なマメ科作物で、世界の植物油供給の約3割、高タンパク質飼料供給の約7割を担っている。一方、大豆の生産性はイネ科作物と比べて低く、干ばつや塩害、低温などの環境ストレスに弱い。

 研究チームは、ブラジルの大豆品種「FT-Abyara」から耐塩性を調節する遺伝子「Ncl」を発見した。

 この遺伝子は、大豆の植物体内でナトリウムイオンやカリウムイオン、塩素イオンの輸送と蓄積を同時に調節することがわかった。また、Ncl遺伝子をもつ大豆は、塩害畑で高い収量を維持することを確認した。

 従来の交配による手法で遺伝子を既存の大豆品種に持たせて耐塩性大豆品種を開発することで、塩類土壌が問題になっている世界の地域での大豆の安定生産に貢献できるという。

(via 北海道大学