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先天性外眼筋繊維症の神経発達異常の仕組みを解明、チューブリンとキネシンの相互作用を阻害

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 眼球運動が制限される先天性の疾患「3型先天性外眼筋繊維症(CFEOM3)」で、神経の発達異常が起こる仕組みを解明したと、理化学研究所の武藤悦子チームリーダーらの研究グループが英科学誌「Nature Communications」で発表した。

 CFEOMは眼筋まひによる斜視や眼瞼下垂を主な症状とする先天性の疾患で、3つの型に分類される。このうち3型では「β3チューブリン」の遺伝子変異が主な原因であることが明らかになってきたが、どのように神経や筋肉の異常を起こすのか詳しくわかっていなかった。

 研究グループは、β3チューブリンの変異がモータータンパク質「キネシン」との相互作用を妨げていることを明らかにした。

 β3チューブリンと相互作用できなくなったキネシンは正常な運動ができず、神経の伸長に重要な微小管の形成が十分にできないと考えられるという。

 また、β3チューブリンとの相互作用を回復できるキネシン変異体「レスキュー変異体」を作製して実験したところ、このレスキュー変異体はβ3チューブリン変異体によって異常が生じた神経形成を回復させる能力があることが、培養神経細胞やマウスの脳で確認された。

 CFEOMの治療法の開発や、神経が軸索を伸ばして肺腺するメカニズムの理解につながる可能性があるとしている。

(via 理化学研究所