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ALK陽性肺がんの薬剤耐性の仕組みを発見

 肺がんの一種「ALK陽性肺がん」に対する分子標的薬「セリチニブ(Ceritinib)」に対して、がん細胞が耐性をもつ仕組みを発見したと、がん研究会の片山量平主任研究員らが科学誌「EBioMedicine」で発表した。

 ALK陽性肺がんは、受容体型チロシンキナーゼをコードするALK遺伝子と他の遺伝子が融合した異常ながん遺伝子「ALK融合遺伝子」が原因の肺がんで、非小細胞肺がん患者100人に3~5人に見つかるといわれている。

 異常活性化したALKのチロシンキナーゼの活性化でがん細胞が増殖するため、このキナーゼを阻害する複数の「ALK阻害薬」が臨床応用されている。しかし、多くの症例で薬剤耐性をもつがん細胞が数年以内に出現することが問題となっていた。

 研究グループは、P糖タンパク質(ABCB1)の過剰発現が次世代ALK阻害薬セリチニブのがん細胞外への排出を促進し、セリチニブ耐性を起こすことを発見した。

 P糖タンパク質の阻害剤とセリチニブの併用療法や、P糖タンパク質による排出の影響を受けないALK阻害薬(アレクチニブやLorlatinib)が有効でることを確認した。

(via がん研究所