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イネの遺伝子を導入してポプラの木質を強化

 イネの遺伝子を使ってポプラの木質を大幅に強化する技術を開発したと、産業技術総合研究所などの研究チームが英科学誌「Scientific Reports」で発表した。バイオエタノールやバイオマテリアルなどの生産に応用できると期待される。

 植物由来のバイオエタノールやバイオマテリアルは食糧生産と競合するため、食糧ではない「木質」を原料とした開発が期待されている。しかし木質生産を増強すると植物の成長に影響するなどの課題があった。

 研究チームは、イネの木質生産を制御する転写因子「OsSWN1」を遺伝子組換えによってポプラに導入することで、ポプラの成長に悪影響を及ぼさずに木質生産量を約4割高め、さらに木材の強度も約6割向上させることに成功した。

 今後は、光合成能力の強化などの技術と組み合わせてさらに生産量の増加を目指すほか、ユーカリやアカシアなどポプラ以外の樹木への適用も検討するとしている。

(via JST