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パーキンソン病に関わるタンパク質分子の「異常なふるまい」を発見

 パーキンソン病の発症と関係するタンパク質の動きを分子レベルで調べ、これらが繊維状に集合した状態で異常なふるまいを示すことを発見したと、量子科学技術研究開発機構などの研究チームが科学誌「PLOS ONE」で発表した。

 パーキンソン病の発症には、脳内のタンパク質「α-シヌクレイン」が繊維状に集合した「アミロイド繊維」が関係すると考えられているが、どのようなメカニズムで形成されるかはわかっていない。

 研究チームは、タンパク質分子の「動きやすさ」に着目し、ばらばらに存在する正常状態とアミロイド繊維状態のそれぞれについて、中性子準弾性散乱装置を用いて調べた。

 その結果、アミロイド繊維ではタンパク質同士が強く結合して動きが制限されているが、内部ではタンパク質の原子の運動は正常な状態よりも大きくなる異常なふるまいを示すことがわかった。

 これは、α-シヌクレインはアミロイド線維の方がむしろ安定であり、アミロイド線維形成が自然に進む可能性を示唆しているという。

参考:量子科学技術研究開発機構