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植物の表皮細胞の形がつくられるメカニズムを解明

 植物の表皮細胞の複雑な形がつくられる仕組みを解明したと、九州大の三浦岳教授らの研究グループが科学誌「PLOS Computational Biology」で発表した。

 双子葉植物の葉の表面の細胞は、美しいジグソーパズル様の形をしている。

 研究グループは、植物の細胞壁の合成と分解を引き起こす分子メカニズムから「細胞壁の産生を抑制するシグナル因子が細胞壁内に放出されて、放出された点から一定の距離まで影響を及ぼす」というルールを導き出した。

 次に、このルールを数理モデル化して数値シミュレーションによって細胞壁の弯曲形成を再現した。このモデルは、頭蓋骨の縫合線のパターン形成に用いられる数理モデルとまったく同じだった。

 さらに、細胞壁の分解を促進して形状変化を観察する実験を行うと、細胞壁の弯曲の波長が長くなり、細胞の壁も分厚くなった。

 これは、数理モデルを使うと細胞壁がゆるくなることでシグナル因子が影響を及ぼす距離が長くなるという解釈ができ、実験で生じた形態変化を再現することができた。

参考:九州大学