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悪性脳腫瘍でがん幹細胞が維持される仕組みを解明

 悪性脳腫瘍の一種「膠芽腫」でがん細胞のもとになる「がん幹細胞」が維持される仕組みを解明したと、名古屋市立大などの研究チームが発表した。悪性脳腫瘍に対する新しい治療法の開発につながると期待される。

 がん幹細胞が自分自身を維持する過程では、「エピゲノム」と呼ばれる仕組みによって遺伝子の発現が調節されている。エピゲノムによる遺伝子調節には、タンパク質に翻訳されない「長鎖非翻訳RNA」が関与する。

 研究チームは、長鎖非翻訳RNAのひとつである「TUG1」が、がん幹細胞の維持に関係することを突き止めた。

 また、TUG1の機能を抑える薬剤をがん部位に届ける「運び屋」と組み合わせた治療薬を作製し、がん幹細胞を移植したマウスに投与した。

 その結果、効果的に薬剤ががん部位に届けられ、抗腫瘍効果を示すことが確認された。