魚が顔の模様の違いで個体を識別することを世界で初めて実証したと、大阪市立大の幸田正典教授らの研究グループが26日付の科学誌「PLOS ONE」で発表した。これまでの常識を覆す発見だという。
ヒトを含む霊長類や群れで生活する哺乳類のほか、鳥類ではカラスなどが顔で相手を識別することは知られている。魚類でも視覚を使って相手を識別する種類があるが、相手のどこを見て識別するかはわかっていなかった。
研究グループは、アフリカのタンガニイカ湖に生息する淡水魚「プルチャー」が相手を視覚で識別することから、この魚がどこを見て識別するかを調べた。
この魚は顔見知り(隣人)には寛容だが知らない相手(他人)には非常に攻撃的だという。モニター上に隣人と他人のモデルの画像を水槽越しに見せたところ、隣人モデルはあまり警戒しなかったが、他人モデルの場合は長時間にわたり警戒したという。
次に、隣人の顔を他人の全身画像に貼った画像モデル(隣人顔・他人体)と、他人の顔を隣人の全身画像に貼ったモデル(他人顔・隣人体)を作成して水槽越しに見せた。
その結果、隣人顔モデルの警戒時間は短かったが、他人顔モデルでは長く警戒したことから、研究グループは相手の顔の模様の違いで相手を見分けていると判断した。
(via 大阪市立大)