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ゴカイが持つ無限の再生能力

 理研の研究者らのグループはゴカイが成体になった後でも再生能力をもつことに注目し、イソゴカイの体を構成する繰り返し構造の「体節」を詳細に調べた。

 体節の細胞がどこから生まれるかを観察したところ、切れ残った体節の尾側に細胞の増殖領域が出現して新しい体節が完成することを発見した。また、この増殖領域を制御するシグナルタンパク質は既存の体節が発するものであることが明らかになった。

 繰り返し構造の体節をもつ他の脊椎動物や節足動物では、発生期にある胚が伸長していく最先端部に増殖領域ができて体節の細胞が供給される。胚発生後には増殖領域が失なわれるため、イモリのシッポなど一部の例外を除き体節の再生能力はない。

 一方、ゴカイの体節形成は「既存の体節」から発信されるシグナルが再生中の体節に形成される細胞増殖を制御して次々と体節をつなげていく。これが、成体になってからもゴカイが再生能力をもつ理由である。

 出典[理化学研究所]