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細胞内に導入した外来DNAの分解をリアルタイムで可視化

DNA分解の可視化

 細胞に導入された外来DNAが分解される様子をリアルタイムで可視化することに成功したと、産業技術総合研究所などの研究チームが発表した。遺伝子治療や核酸医薬などに貢献する成果だという。

 任意の遺伝情報を組み込んだDNAを人工的に細胞に導入する技術が開発されているが、外来DNAが細胞内で変化する様子を分子レベルで定量することは十分に達成されていなかった。

 研究チームは、導入する外来DNAを2色の蛍光色素で標識してラスター画像相互相関分光法(ccRICS)を使って観測した。ccRICSは、2色の蛍光シグナルが同時に変動するか、別々に変動するかでDNAの分解を検出することができる。

 さらに、多数のタイムラプス画像を一括処理するプログラムを開発することで検出したDNAの分解を動画にすることを可能にした。

 研究チームは、遺伝子導入効率が違うMEF細胞とHEK293細胞にDNAを導入して分解を可視化した。

 その結果、MEF細胞は5分以内に分解されたがHEK293細胞では顕著な分解は見られなかった。細胞内のDNA分解活性の差が遺伝子導入効率の違いに関与しているという。

(via 産総研